偽り共存 あなたがいればそれだけでいい

著者
 七浦 優
  福田 深

内容

別々の養護施設で育てられた新太と瑠璃は、ある日出会った瞬間恋に落ち、夫婦になった。 そして安住の地を求め、新たな街に引っ越した。

――二人がいればそれでいい。

穏やかな日々を暮らしている二人だが、いけないとわかっていてもなにかを埋めるかのように 薬物を使用し、異常なまでの快楽を得ていたのだ。

そんなある日の花火大会に出かけた二人。携帯を取りに戻った瑠璃が、いつまで経っても戻ってこない。 逸る気持ちを抑えつつ、探し当てた先に待っていた光景は……。想像もしなかった瑠璃の姿に、怒りがこみ上げる。 レイプ犯に襲い掛かった新太が手に持っていたのは――!
時には、大切なものを守るために「人間としては最低な行為」を選んでいく二人。 見えない深い絆と純粋な愛情に身を寄せ合うことで永遠を誓う、そんな夫婦に待ち受ける結末とは…… 『偽り共存 あなたがいればそれだけでいい(4)』には「第九章 声と別れとニ羽の鳥」~「第十章 偽り心と燻された銀翼」までを収録。


著者コメント

他人との価値観の違いに、つい自分を卑下してしまう癖を直すのは容易ではありません。だからこそ思いを共有でき全てを許せる唯一無二の存在に出逢えた時、「けっして手放してはいけない」と思います。例え友達同士、恋人同士、家族であろうと育った境遇がどんなに似ていようと、必ずしも心許せるかは分りません。
私は愛情という目には見えないものだけで繋がれる人間同士の心の強さを知りたいと思うのです。自分の思う世界を文字という言葉で表すことに難しさを感じますが、一組の夫婦の人生を語ることで「人間にはそれぞれの生き方がある」ということを、誰か一人にでも伝えられたらと願います。