毒姉回避のために偽装婚約を結んだ人形令嬢はエリート騎士に溺愛される

著者
 鈴宮
 ヤナギヨミ

内容

人形のように美しく、どこかおっとりとして見える伯爵令嬢ラルカ・ラプルペは、行儀見習いも兼ねて王女エルミラの侍女をしていたが、きっちりと堅実に仕事をこなしている彼女の能力と本人からの強い希望により、侍女からエルミラ付きの文官へと変わった。
ある日、領地に住んでいた姉メイシュが王都にやってきて文官になったことがばれてしまった。
幼い頃より姉の命令は絶対という環境で育ってきたラルカ。
姉に侍女に戻ること、なるべく早くに結婚をすること、寮を出て王都のタウンハウスで暮らすことを約束させられた。
エルミラの協力の元、侍女のふりをして仕事を進めていた中、エルミラのお遣いに行った先で、侯爵令息であり王太子の近衛騎士を務めるブラント・ソルディレンと出会った。
ひょんなことから自分の悩みを打ち明けたところ、ブラントから結婚を急かされて困っているということで『僕と婚約しよう』と提案される。


互いの利害は完全に一致し、二人はいずれ解消するという約束で、仮初の婚約を結ぶことに。
姉の言いつけどおりにしたというのに、姉メイシュの束縛は解けない。
そんなラルカに、ブラントが優しく手を差し伸べて、メイシュからラルカを守るように立ち回ってくれる。
そうして、二人の甘い偽装婚約生活が始まったのだが――。





著者コメント

異世界恋愛物語は幸せな結婚をすることに主眼を置かれておりますが、この作品は現代の女性のように『仕事がしたい』『結婚をしたくない』『自由に生きたい』といった価値観を持ったヒロインが、自分らしく生きていくため(モラハラからの開放、男女共同参画)に奮闘する姿を描いております。
また、恋愛に興味のなかったヒロインが、ブラントの優しさや温かさに触れ、恋に落ちていく様、己の価値観が変わっていく様子も見どころだと感じております。
さらに、ラルカを苦しめていた『オシャレをするという行為』が他の人の救いとなりうること(トラウマからの開放)についても触れておりますので、奥行きのある物語に仕上がっていると思います。